都道府県と県庁所在地【地理のハナシ】

第1部 第2章 日本の姿(4)

はじめに

  • 日本の都道府県と都道府県庁所在地の位置には、どのような特色があるのかを整理しましょう。
  • 都道府県都道府県庁所在地などの重要語句を解説しています。
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1.都道府県について

都道府県

都道府県とは、地方の政治を行うための行政単位のこと。現在では、1都1道2府43県からなる。

都道府県とは、地方の政治を行うための基本的な単位のことです。現在、1都(東京都)1道(北海道)2府(京都府・大阪府)43県からなります。それでは、都道府県が現在の1都1道2府43県になったのはいつ頃なのでしょうか。都道府県の成り立ちを確認してみましょう。

〇廃藩置県

1871年に明治政府は、全国の藩を廃止して代わりに府と県を置く廃藩置県を行いました。全国が3府(東京府・京都府・大阪府)302県(北海道と沖縄を除く)となります。しかし、飛び地が全国各地に見られ、地方を統治するには地域的に複雑になったことから、同年の11月に3府72県に統合されました(第1次府県統合)。その後、1876年に大規模な統合が行われ、3府35県となります(第2次府県統合)。これに北海道開拓使※1と琉球藩※2が加わり、1879年に琉球藩が沖縄県となったことで1使3府36県となりました。

※1 北海道:北海道の開拓を進めるため、1872年に北海道開拓使が設置されました。1882年に北海道開拓使が廃止され、函館県・札幌県・根室県の3県が設置されます。その後、1886年にこの3県が廃止されて北海道庁が設置されました。

※2 沖縄:沖縄はかつて琉球王国が統治していましたが、1872年に版籍奉還が行われて琉球藩が設置されました。そして、1879年に琉球処分によって琉球藩が廃止され、沖縄県が設置されました。

〇その後の府県の分割

大規模な府県の統合が行われた後、各地で分県運動がおこり、府県の分割が行われました。そして、1888年に愛媛県から香川県が分立し、北海道庁を含めて、1庁3府43県となりました。その後、1943年に樺太の内地編成によって樺太庁が設置されます。さらに同年、東京府と東京市が合併して東京都になりました。終戦によって樺太は放棄され、戦後に沖縄がアメリカの統治下となりました。

〇地方自治法の施行以降

1947年の地方自治法の施行によって北海道庁が廃止され、北海道は他府県と同様の地方自治体となります。そして、1972年に沖縄がアメリカから返還され、沖縄県が再設置されたことで、1都1道2府43県となりました。

以上のように、都道府県は、1871年の廃藩置県から1972年の沖縄県の再設置によって、現在の1都1道2府43県になったのでした。

2.都道府県庁所在地について

都道府県庁所在地

都道府県庁所在地とは、都道府県庁が置かれている都市のこと。各都道府県の政治の中心的な役割をもつ機関が集まる。

都道府県庁所在地の多くは、江戸時代以前から城下町や港町として栄えてきた場所で、地域の政治や経済の中心地でもあります。現在でも都道府県庁所在地は、各都道府県の中で多くの人口を抱える地域の中心都市として発展しています。

〇都道府県名の由来

都道府県庁所在地の多くは、都道府県名と同じ都市名になりますが、北海道の札幌市や宮城県の仙台市のように異なる場合もあります。それでは、都道府県名と都道府県庁所在地名が異なるのはどのような理由があるのでしょうか。

まず、都道府県名の由来は、①都道府県庁所在地の都市名に由来するもの、②都道府県庁所在地の郡名に由来するもの、③それ以外の名前に由来するものなどがあります。これらの由来の違いから、都道府県名と都道府県庁所在地名が同じになるか、あるいは異なることになりました。都道府県名の由来の違いにはそれぞれ理由があるので、皆さんが暮らす都道府県の名前がどのように決まったのか、それぞれ調べてみるといいでしょう。

また、都道府県名と都道府県庁所在地名が異なることについては、賞罰的県名説という考え方があります。しかし、この考え方については否定的な意見もあり、混乱を招く恐れがあるので、当サイトではこの説の紹介だけにとどめておきます。興味のある人は、賞罰的県名説や宮武外骨(みやたけがいこつ)で調べてみるといいでしょう。

〇東京都の都庁所在地は「東京」?

東京都の都庁所在地について、「都庁所在地は新宿区ではないのか?」という質問がよくあります。これは、市販されている地図などで東京都の都庁所在地が「新宿区」と記載されているのに対して、学校で利用する地図帳では「東京」と記載されていることが原因だと考えられます。このことについて、東京都の政策企画局が以下のように答えています。

都民や全国の皆様から、お問い合わせの多い「東京の県庁(都庁)所在地はどこか」という疑問にお答えします。結論から申しますと、

  1. 都道府県庁の位置は、条例でこれを定めるよう、地方自治法で定められている。
  2. 東京都では「東京都庁の位置を定める条例」により、東京都新宿区西新宿二丁目と定めている。

ということになります。

引用:「東京都の県庁(都庁)所在地について」東京都政策企画局ホームページより

上記のように、東京都の政策企画のホームページでは、東京都庁の位置は東京都「新宿区」と説明されています。また、同ホームページでは、一般的に東京都の県庁所在地は「東京」であるという認識については、学校などで利用されている地図帳などの表記が東京となっているためだろうと説明もされています。

それでは、学校で利用する地図帳で「東京」と表記されているのはどのような理由からなのでしょうか。学校で利用される地図帳を発行している帝国書院や東京書籍は、以下のように説明しています。

現在の東京23区の範囲には、かつて東京市という自治体がありましたが、1943年に東京府と東京市が合併して東京都になりました(東京都制施行)。この際、東京都の内部機関として35区が設置されました。その後23となった東京の区はほかの政令指定都市の区と異なり、区長が選挙で選ばれたり、区教育委員会・区立小中学校があったりと、市町村の機能の一部をもっています。そのため、東京23区は「特別区」とよばれています。一方、東京市がもっていた市町村としての主要な権限(上下水道の設置管理、消防等に関する権限など)は東京都がもつことになりました。また、東京都知事は「東京都の知事」であると同時に「東京23区全体の市長」としての権限ももっています。こうした理由から、新宿区をはじめとする東京23区は、各区が単独で市町村と同格にはなりません。

引用:「東京都の都庁所在地が「新宿」ではなく「東京」なのはなぜですか」帝国書院ホームページより

東京都の条例によれば、都庁の所在地は「東京都新宿区西新宿二丁目」と定められています。しかし、東京書籍の地図帳ではこの位置に「東京」と記載しています。 この背景には、東京23区の地方公共団体としての位置づけがあります。東京23区は、地方自治法では特別区と定められており、ほかの市町村とは別扱いされています。現実に消防などの権限はなく、税制でも固定資産税などは都税になっていたり、ほかの市町村と異なることが多く見られます。
 そうしたこともあってだと考えられますが、国土地理院発行の20万分の1地勢図でも、東京の23区をひとまとまりにして「東京」と記載することが、慣習になっています。
 さらに歴史的な経緯を振り返ると、23区はかつて存在した東京市に由来しているとも考えられます。

引用:「教科書・図書教材 とくあるご質問Q&A」東京書籍ホームページより

上記のように、帝国書院や東京書籍は、東京の23区が他の市町村とは異なる位置づけにあると説明しています。また、東京書籍の説明では、国土地理院(国土交通省に属する政府機関)の地勢図で、東京の23区をひとまとまりにして「東京」と記載されることが慣習になっている点も述べられています。

このような背景より、学校で使う地図帳では、東京23区をひとまとまりとしてとらえ、東京都の都庁所在地を「東京」と記載しているようです。学校で学ぶときには、東京都の都庁所在地は地図帳の表記に合わせて「東京」と覚えておくことがよいでしょう。しかし、正確に答えるのなら、「新宿区」ということになるでしょう。

出典など

参考文献

『社会科 中学生の地理 世界の姿と日本の国土』 帝国書院

『中学社会用語・資料集』 旺文社

『中学 詳説 用語&資料集 社会』 受験研究社

『地理用語集』 地理用語研究会編 山川出版社

『改定新版 世界大百科事典』2007 平凡社

八幡和郎著 『日本史が面白くなる47都道府県県庁所在地誕生の謎』 光文社知恵の森文庫

齊藤忠光著 『地図とデータでみる都道府県と市町村の成り立ち』 平凡社

引用文献

「東京都の県庁(都庁)所在地について」東京都政策企画局ホームページ

「東京都の都庁所在地が「新宿」ではなく「東京」なのはなぜですか」帝国書院ホームページ

「教科書・図書教材 とくあるご質問Q&A」東京書籍ホームページ