暑い地域:インドネシアの暮らし【地理のハナシ】

第2部 第1章 人々の生活と環境(2)

はじめに

  • 雨が多く気温が高いインドネシアでは、人々はどのような生活をしているのかを整理しましょう。
  • スコール熱帯林高床などの重要語句について解説しています。
  • ノートの利用はこちら→地理のノート

1.スコールについて

スコール

スコールとは、短時間のうちに勢いが増す、一時的な強い風のこと。雷や降雨をともなうことが多い。

スコールとは、赤道地方で午後から夕方にかけておこる強い風をともなう降雨のことです。各地によって定義は様々なようで、雷や降雨をともなう突風のことを指す場合もあります。アメリカ合衆国では、雨をともなう強風のことをスコールと呼びます。

スコールは気象状況を表す用語で、二つの意味があります。一つは、局地的な悪天気のことで、発達した雲にともなって雷が鳴り、強い雨が降ります。多くの場合、風も強くなります。もう一つは、強い風が急に吹き出す現象のことで、その風は数分程度で弱まることが多いです。

世界気象機関(WMO)の委員会で1962年に採択された定義によると、「風速が少なくとも8m/sだけ上昇して11m/s以上に達し、少なくとも1分間は続く」となっています。

2.熱帯林について

熱帯林

熱帯林とは、熱帯に分布する森林のこと。熱帯雨林やマングローブ林などを含む。

熱帯林とは、熱帯に分布する森林の総称のことです。熱帯雨林や熱帯季節林マングローブ林などを含みます。

熱帯雨林とは、赤道周辺の熱帯雨林気候の地域に分布する常緑広葉樹の密林のことです。植物種が豊富で、「遺伝子の宝庫」ともいわれます。熱帯雨林には、ときには50mをこえる高さの樹木があり、その下には様々な高さの多種類の常緑樹やツル性の植物が生い茂っています。それらにさえぎられて、光合成に必要な日射が地表近くまで届かないため、林内は暗く、下草はあまり生えていません。

マングローブ林とは、熱帯地域の海岸部などに分布する森林のことです。海岸を波の侵食から守り、幼魚の生育域にもなっています。近年、輸出用のエビの養殖池にするためにマングローブ林が伐採され、環境破壊が懸念されています。

※熱帯季節林とは、雨季と弱い乾季がある熱帯に分布している森林のことです。乾季に落葉することから、熱帯雨緑林や熱帯落葉樹林とも呼ばれます。落葉する乾季には、日射が地表近くにまで届くので、下草がよく生い茂り、ツル性の植物も多いという特徴があります。東南アジアの季節風が吹く地域に広く分布しています。高校生で学ぶ内容なので、ここでは紹介だけしておきます。

3.高床について

高床

高床式住居とは、床を高くしたつくりの住居のこと。風通しを良くすることなどが目的となる。温暖で湿気の多い東南アジアの地域で多く見られる。

高床式住居とは、柱や杭を利用して床を地表よりも高くした住居のことです。抗上(こうじょう)家屋と呼ばれることもあります。主に東南アジアからメラネシア、ニューギニアにかけての地域や、シベリア、北アメリカ、南アメリカの一部などにみられます。

高床式住居は、床が地表から離れているため風通しがよく、熱帯地域の環境に適しています。降雨の多い地域では、洪水などによる水の浸入を心配する必要がないという特徴もあります。また、害獣や害虫などの侵入を防ぐこともできるので、高床式の倉が用いられることもあります。さらに、高床式住居は、地面を整地する必要性が少ないことから、凹凸がある土地や傾斜地に建てることができ、海岸や湖岸、河岸などの水上に建てることもできます。水上に建てた高床式住居は、一般的に水上住居と呼ばれ、東南アジアやメラネシア、南アメリカなどに見られます。さらに木の上に建てた高床式入居は樹上家屋と呼ばれ、インドや東南アジア、ニューギニアなどに見られます。

東南アジアは、伝統的に高床式住居が多い地域ですが、一部で例外があるようです。インドネシアのジャワ島やバリ島、ロンボク島西部や大陸部のベトナムの南シナ海沿岸部に見られる伝統的な住居は、地面と建物の床が近い地床(じゆか)になっているようです。このことについて、次の文献にはこのようにあります。

東南アジアでは高床が多いが、ところどころに地床が存在しており、その分布に特徴が見いだせる。ベトナムの沿岸部・平野部に見られる地床型は中国の影響と考えられ、その他の国の華人居住区でももちろん地床である。また、ジャワ、バリ、ロンボクにも地床が広く存在するが、これはヒンドゥー教の影響とする説もある。つまり、地床は一部の地域にしか存在していないことになる。しかし、これも歴史的な変遷を経ての結果であり、例えばボロブドゥールのレリーフを見れば、かつてはこの地も高床式の建物が建つ地域であったことがわかる。

引用:『東南アジア文化事典』PP.348-349

上記のように、ベトナムでは、沿岸部や平野部で地床の住居がみられるようです。これは中国の影響があるようで、中国から移動してきた人々が地床の住居で生活していたことが由来と考えられるています。また、インドネシアのジャワ島やバリ島、ロンボク島にも地床がみられるようですが、これはヒンドゥー教の影響と考えることができるようです。しかし、ジャワ島にある仏教寺院のボロブドゥールのレリーフには、高床式の建物が刻まれていて、地床の建物はみられないそうです。このことから、ジャワ島でもかつては、高床式の住居が一般だったのではないかと指摘されています。

東南アジアの人々が暮らす住居は、周辺の国々の生活習慣から影響を受け、歴史的な変化を伴いながら現在に至るようです。さらに現在、都市部では近代的な住居が多く並び、伝統的な高床式の住居もみられなくなってきています。

出典など

参考文献

『社会科 中学生の地理 世界の姿と日本の国土』 帝国書院

『中学社会用語・資料集』 旺文社

『中学 詳説 用語&資料集 社会』 受験研究社

『地理用語集』 地理用語研究会編 山川出版社

『地理の研究』 帝国書院

『改定新版 世界大百科事典』2007 平凡社

『事典東南アジア』 弘文堂

引用文献

『東南アジア文化事典』 丸善出版